Welq、iemoなどのパクリ問題に対して対策しにくい理由と、声の上げづらさ

Welqなどのパクリ問題について声の上げにくさと、対抗しにくい理由

少しずつ大きくなってきていた批判が爆発し、ついに大炎上となったDeNAのキュレーションメディアWelq。生命にかかわる医療分野で信頼性の薄い記事が書かれているということが主な問題点として取り上げられiemoなども含めて閉鎖となりました。しかし、キュレーションメディア全体のパクリ問題について声を上げているのは全体から見れば少数派だと感じます。パクリ問題について行動を起こしにくい理由と、「声を上げること」の心理的な壁について書きたいと思います。

被害者、内心腹が立っている人、業界人どの立場にいても声を上げにくい理由をまとめてみます。

個人中小が大企業を訴えることは金銭的に合わない

著作権は日本では現状親告罪なので、著作者が気づかなければ、気づいても訴えなければ何も起こりません。そして、転載された方からすれば、数記事パクられてたからと言って訴訟するのは金銭的には割に合わないですよね・・・損害額なんて出しにくいし、ブログだと一人当たりの実際の損害額なんて少ないと思います。

記事を削除してもらう壁が意外と高い

以前の記事でDMCA申請が一番効果的だと書きましたが、すみません、理論的にというか・・・、上手く行ったらそうなだけで、そううまくはいきません。本名が公開されること、ブログ上において運営者の本名を出さないと難しいようです。匿名ブロガーはこの時点で無理です。

所有権を証明するのにサーチコンソールとGoogleのインデックス記録で、理論的にはサイト所有権が確認できると思うのですが・・・その点をGoogleに問い合わせても同じテンプレ文しか返ってきませんでした。虚偽の申請も多いようでGoogleは削除に対してあまり積極的でないのかもしれません。

また転載元に連絡をする場合ですが、複数の画像を転載したまとめ記事だと、自分の画像だけ削除され、その他の画像と元記事は残ってしまいデメリットの方が大きいです。

世間の共感を得ることは難しく、社会的にもリスクがある

パクリについて声を上げたからと言って、大きく見た時の世間からは共感されません※。以下のような一般読者心理があるからです。

一般読者の心理

  • パクられたものだろうが便利だから関係ない
  • サイトがカッコいい
  • どちらにせよ、広告費で稼ごうとしてる。同じじゃないの?

そもそも、記事や画像が転載であることに気づいていません。気付いたとしても、便利であればそちらを読みます。質の低いコンテンツでも、検索上位に来ているので、他の記事を探す手もを考えたら「便利」なわけです。また、広告に対する否定的な見方も強くなっている点もあります。

※あくまで、多数派の話です、今回声を上げた人もたくさんいます。

Web業界内の人にとっての声の上げにくさ

Web業界内の人は声を上げる人、声を上げにくい人、擁護派に分かれるのかなと思います。

  • IT大、中堅企業、関わる広告代理店。取引があればなおさら
  • キュレーションメディアが、業界内で肯定的に取り上げられることが多かったから
  • 著作権への反感。既得権益への反抗的な期待、上記イノベーションに通ずる期待感

これだけキュレーションが盛り上がって、動くお金も大きいので業界内で声を上げるのはリスクがあります。また著作権の行使のされ方によっては業界が委縮してしまうことへの反感が、パクリも容認したキュレーション擁護まで行ってしまうこともあると思います。

以上あくまで、僕が感じた個人的な感想ですが、同じように感じた方もいらっしゃるではないでしょうか。リスクがあるのに会社規模で転載ができるのは、上記のように、被害者がパクられても「声があげにくい」仕組みにあるかと思います。

パクられること自体が本当の問題じゃない

Welqが再開しなくても、DeNAだけでなく大手から中小までキュレーションメディアであふれかえっています。従来の方法で運営している他のメディアにとって、「狩人」がこれだけ増えて狙われるわけですから、大問題です。

転載、リライトの手法では、時間をかけて取材したり写真を撮って作られた記事を、内職程度の低単価でまとめらさせて作っています。ということは元記事にかかっているコストが1万だとすると、10記事まとめれば10万円取材などのコストを浮かすことができるわけです。

問題は記事がパクられること自体ではなく、低コストで作られたキュレーションメディアに検索上位を占められて、コストをかけたメディアが運営できなくなることです。さらに詳しくは以下の記事で書いているので、よろしければ見てみてください。

キュレーションメディアの興隆はブロガー、既存メディアにとっての悪夢? – Life Design Edit

この記事では「声を上げにくい」と書いていますが、それでも声を上げる人がいた結果、それでも炎上によって流れが変わったので、Webの力ってすごいなというのと、声を上げ続けることの大事さを感じました。パクったもの勝ちの世界にはならないように、少しでも声を上げていきたいとおもいます。

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